1. FCFの計算式
一般的な算出方法は次のとおりです。
投資CFはマイナスで表示されることが多いため、実務上は「設備投資が少なければFCFは増える/設備投資が多ければFCFは一時的に減る」と理解されます。
企業によっては、以下のように細かく分解して把握する場合もあります。
- 営業活動からの純キャッシュ
- 設備投資(CAPEX)
- 投資有価証券の取得・売却
- 無形資産への投資
FINANCIAL KNOWLEDGE
Free Cash Flow:企業が事業活動によって生み出し、自由に使える現金の量を示す指標
フリーキャッシュフロー(FCF)は、企業が本業で生み出したお金から、将来の成長のために必要な投資(設備投資など) を差し引いた「自由に使える現金」のことです。利益よりも実際のお金の流れに近い指標であり、企業の健全性や成長の 持続力を確認するうえで欠かせません。ZaiNaviは有価証券報告書(XBRL)ベースでデータを取得しており、短信に頼らず に決算ごとのFCFを安定してトレースできます。
一般的な算出方法は次のとおりです。
投資CFはマイナスで表示されることが多いため、実務上は「設備投資が少なければFCFは増える/設備投資が多ければFCFは一時的に減る」と理解されます。
企業によっては、以下のように細かく分解して把握する場合もあります。
PLが黒字でも現金が増えていない企業は少なくありません。FCFを見ることで、本業で現金を生み出しているか、 過剰な投資でキャッシュを減らしていないかを素早く確認できます。
安定してFCFを生み出せる企業は、借入金の返済や自社株買い、配当、新規投資など複数の打ち手を持てます。 逆にFCFが長期でマイナスの企業は、資金繰りや調達コストの管理が重要です。
企業価値評価(DCF)では、将来生み出されるFCFがベースになります。FCFは「企業価値の源流」であり、長期投資で最も注目される指標のひとつです。
FCFは自由に使えるキャッシュですが、マイナスだからといって必ずしも悪いわけではありません。
新工場の建設、店舗網の拡張、研究開発投資、M&Aなど、将来の成長のために資金を投じるとFCFは一時的にマイナスになります。 投資の質と事業計画をセットで確認することが重要です。
軽資産モデル(ソフトウェア、プラットフォーム等)はFCFが安定しやすい一方、製造業やインフラ業は設備投資が重いため波打ちます。 業種特性を踏まえて比較しましょう。
投資CFは「兆し」を捉える指標でもあるため、単年だけでなく複数年の推移を確認しましょう。 有報ベースで数値を追えると、決算ごとの段差も把握しやすくなります。
5〜10年のFCF推移を見ることで、「成熟してキャッシュを吐き出している企業」「投資フェーズにある企業」 「ビジネスモデルが変化している企業」の違いが浮き彫りになります。
ROICは投下資本の効率、FCFは現金の流れを示すため、両方を見ることで 「収益効率は高いのにキャッシュが残らない」「投資を増やしているのにROICが改善している」といった洞察が得られます。
FCFがマイナスでも、営業CFが安定してプラスで、投資CF(設備投資)が膨らんでいるだけなら健全な成長投資フェーズです。 逆に営業CF自体が落ち込んでいる場合は、事業構造の見直しが必要かもしれません。
ZaiNaviでは、有価証券報告書(XBRL)由来の数値をもとに次のような分析ができます。
数字の大小だけでなく、キャッシュの出入りと資本効率をセットで追跡できるため、 企業の成長フェーズや財務の強さを立体的に捉えられます。
本ページはFCFの一般的な意味を説明するものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 投資判断は、複数の指標や定性情報を総合的に検討し、ご自身の責任で行ってください。