1. ROICの計算式
一般的な計算式は次のとおりです。
● 投下資本(Invested Capital)とは
企業が事業を行うために実質的に使っている資本のことで、主に次の要素から構成されます。
- 純資産(自己資本)
- 有利子負債(短期+長期)
- その他の調整項目
ZaiNaviでは有価証券報告書のXBRLデータから投下資本を自動計算し、一般的な定義から大きく逸脱しない形で算出しています。
FINANCIAL KNOWLEDGE
Return on Invested Capital:企業が“投下したすべての資本”を使って、どれだけ効率よく利益を生み出しているかを示す指標
ROIC(投下資本利益率)は、企業が事業のために投下したすべての資本(株主資本+有利子負債)を使って、どれだけ利益を生み出しているかを測る指標です。ROEやROAよりも“企業の本質的な収益性”を捉えやすい、強力な経営指標として扱われます。
特に長期投資家やファンドでは「ROICの継続性」を重視する傾向があり、企業価値評価や中期経営計画の判断材料としても使われます。
一般的な計算式は次のとおりです。
企業が事業を行うために実質的に使っている資本のことで、主に次の要素から構成されます。
ZaiNaviでは有価証券報告書のXBRLデータから投下資本を自動計算し、一般的な定義から大きく逸脱しない形で算出しています。
ROICは営業利益ベースで企業の収益力を測るため、ROEやROAよりも本業の効率を素直に反映します。
設備投資やM&A、研究開発などに資金を投じたとき、その投資が価値を生み出しているかどうかはROICを見ると判断しやすいです。ROICが上昇すれば投資の質が高く、低下すれば投資効率の悪化が疑われます。
企業価値の世界では、ROICがWACC(資本コスト)を上回ると「価値創造(Value Creation)」、下回ると「価値毀損(Value Destruction)」とされます。
※ZaiNaviはWACC計算機能は備えていませんが、ROICの推移を見ることで企業の価値創造力を一定程度読み取れます。
ROICが低い=悪い企業、という単純な解釈は危険です。背景次第で変動します。
設備投資やM&Aを行うと投下資本(分母)が膨らむため、短期でROICが落ちても長期視点では問題とは限りません。
ROICの分子は営業利益ベースです。本業の収益力が弱い場合、ROICも低くなります。
インフラ業種や重資産型の製造業は低ROICになりやすく、ソフトウェアなど資産の軽い業種は高ROICになりやすいです。異業種比較は意味を持ちにくいため、業種内比較が基本です。
ROICは変動が大きい指標です。5年、10年など長期推移で見ることで、本質的な改善/悪化を把握できます。ZaiNaviでは複数年のROIC推移を自動で確認できます。
ROICは「ROIC = 営業利益率 × 資産回転率」に分解できます。本業の利益率が高いのか、投下資本を効率よく回しているのかを見分けられます。
ROICが高くても、投資金額が過大でキャッシュが減っていれば健全とは言えません。ROICが“収益効率”を示し、FCFが“現実のキャッシュの増減”を示す、と考えてバランスよく確認しましょう。
ZaiNaviでは、ROICを次の観点から分析しやすくしています。
投下資本の計算をXBRLベースで自動抽出できるため、数字を転記する手間を減らし“本質的なビジネス効率”を素早く把握できます。
本ページはROICの一般的な意味を説明するものであり、特定の企業の投資判断を推奨するものではありません。実際の投資判断は、複数の情報を総合的に検討し、ご自身の責任で行ってください。